捨てられないもの

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 わたしの捨てられないものは、23年前に亡くなった父の財布です。わたしの父は、いわゆる知的障害者でした。当時は、障害者に対する認知がとても低く、社会保障も確立されていませんでした。明るく人当たりの良い父は、力仕事などをしながら真面目に働いてくれました。父はお金の計算がよくできないため、いつも1000円札や500円玉を持って買い物に行くので、財布の中は小銭ですぐいっぱいになっていました。父が亡くなってから、荷物を整理していた時、小銭でパンパンの財布を見つけて、胸が締め付けられました。今、父の財布は書類ケースに入っています。引き出しを開けると、父の明るい笑顔を思い出します。